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飛蚊症とは

飛蚊症(ひぶんしょう)とは『蚊が飛んでいるように見える』という症状です。病名ではなく症状名です。

この症状の原因は、多くの場合は加齢による後部硝子体剥離です。

目の中には硝子体というゼリー状の線維が入っています。この硝子体は年齢とともに水と線維にわかれます。線維は縮んできます。

硝子体は視神経の上と周辺の網膜に強く癒着しています。視神経の上の癒着がはずれると硝子体の影が『輪』や『細かい粒』として急に見えてきます。また、周辺の網膜を引っ張ると網膜の裂け目(網膜裂孔)ができます。そのまま放置すると網膜剥離になります。

網膜裂孔ができる時に網膜血管から出血したり、網膜下の色素が広がります。これも『飛蚊症』の原因になります。

他の原因疾患としてぶどう膜炎、糖尿病網膜症、網膜細動脈瘤破裂、硝子体出血などが考えられます。

後部硝子体剥離による飛蚊症

飛蚊症の原因は、多くの場合は加齢による後部硝子体剥離です。
加齢により、硝子体線維が縮んで網膜からはずれると網膜の前に硝子体線維が出現します。すると濁りが見たい所に重なって邪魔をします。

矢印:網膜の前に硝子体線維が出現した写真と図

後部硝子体剥離の約6%に網膜裂孔!

後部硝子体剥離が起こるとなんと約6%に網膜裂孔ができます。
飛蚊症は多くの場合、気になる程度で大きな問題にならないと考えがちですが、この考えは大変危険です。
飛蚊症が出てからしばらくするとまたは同時に網膜裂孔という網膜の裂け目ができてさらに網膜剥離になる危険性があります。

飛蚊症は網膜裂孔・網膜剥離の前兆!

網膜裂孔は大きさや位置、硝子体の引っぱり具合にもよりますが、時間とともに網膜剥離に進展します。

飛蚊症は早めの受診を!(忙しくても2~3日で)

早め(できれば飛蚊症が出て2~3日)に診察を受けることをおすすめします。
早めに網膜裂孔で見つかれば当日外来にてレーザー治療だけで済みます。
もし網膜剥離に進展しても中心まで進行しなければ緊急手術にはなりますが、手術で良い視力を保てる可能性が高くなります。

網膜裂孔と網膜剥離は大違い!

網膜裂孔

網膜裂孔は外来で5~10分程度のレーザー治療を行います。
レーザーの熱で網膜に炎症を起こして10日ほどで徐々に瘢痕・癒着させます。網膜剥離にならないように治療します。
硝子体の引っぱりが強いとレーザー治療の効果が出る前に網膜剥離に進展する場合もあります。

網膜剥離

網膜剥離になってしまった場合は、レーザー治療で治療することはできません。硝子体手術が必要です。ただし若年者の場合は別の手術になります。

硝子体手術で硝子体の引っぱりを取り除き、網膜の下にたまった水を排出して網膜を元の位置に戻してから裂孔のまわりにレーザーをあてて最後に膨張ガス(SF6)を入れて手術終了します。その後1週間から2週間うつ伏せ安静して網膜が癒着するのを待ちます。

他の飛蚊症の原因

硝子体出血・ぶどう膜炎・網膜細動脈瘤など他にも原因疾患が考えられます。

また、以前飛蚊症が出た時に診察を受けて異常がなくても飛蚊症がさらに増えたり、反対眼に出た時は網膜剥離になる場合がありますので必ず早めに受診してください。

あれっ!おかしいと思ったら早めの受診を!

飛蚊症での受診時の注意

基本的にはミドリンPで瞳孔を開いて眼底検査(散瞳検査)が必要ですので検査後3~4時間は運転がしづらくなります。

飛蚊症が出てから運転の都合がつく日まで待っていると網膜剥離が進行してしまうリスクがあります。

当院では無散瞳で広角眼底検査ができるオプトスがありますのでどうしても運転の都合がつかない場合は、取り敢えずご自分の運転でご来院ください。無散瞳でオプトスの撮影をします。

進行が早い網膜剥離や比較的大きな網膜裂孔は、オプトスで見つかりやすく、早期発見できます。

周辺の小さな網膜裂孔はオプトスでは確認できないことがありますので、後日都合のいい日にあらためて散瞳検査を行います。

オプトスについて詳しくはこちら