倉知眼科倉知眼科

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加齢黄斑変性症とは

年齢を重ねると身体のいろいろなところで病気がでてくることがあります。
加齢黄斑変性もその一つで、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気です。
黄斑(おうはん)とは網膜の中央にある、ものを見るために一番重要な部分です。
ものの形、大きさ、色、立体性、距離などの光の情報の大半を識別しています。この部分に異常が発生すると、視力が低下したり、ものの見え方に支障がでたりします。

加齢黄斑変性の症状

中心が歪む

中心が暗い

ぼやけて見える

中心が不鮮明

どんな方に多い?

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)は、年をとれば誰にでも起こる可能性のある眼の病気です。
加齢黄斑変性の発症のリスクを高めることとして、下の三つの原因が上げられます。
特に有名なのは喫煙で、喫煙による酸化ストレスが眼に蓄積すると、加齢黄斑変性の背景にある炎症を引き起こすといわれています。
ですから、加齢黄斑変性の発症予防や、発症してしまった方が進行を遅らせるためには、禁煙が非常に重要です。

加齢黄斑変性の治療

滲出型加齢黄斑変性(しんしゅつがたかれいおうはんへんせい)の治療には、
下記のような様々な治療法があります。

  • 抗血管新生薬療法(こうけっかんしんせいやくりょうほう)
  • 光線力学的療法(こうせんりきがくてきりょうほう)(PDT:photodynamic therapy)
  • レーザー光凝固術(ひかりぎょうこじゅつ)
  • サプリメント(加齢黄斑変性の進行予防に使用されることもあります)

過去から現在へ治療の歴史

過去、加齢黄斑変性の治療は
・新生血管抜去術(新生血管を手術で取り除く治療)
・レーザー光凝固術(新生血管をレーザー光で焼き固める治療)
などが主に行われていました。

2004年に、従来のレーザー光凝固術よりも正常組織を傷つけるリスクが軽減された、
光線力学的療法(PDT)(薬と弱いレーザーを併用して新生血管を退縮させる治療)が可能になり、
治療の主流になっていきました。
ただ、これらの治療は視力の改善が期待できないことから、一定の視力を下回るような、
状が進行した方のみが受ける治療でした。

そして、2009年頃から、レーザーを照射しなくても視力の低下を抑え、
時に改善も期待できる治療である抗血管新生薬療法(新生血管の成長を促す物質のはたらきを抑え、
新生血管の成長を止めて消退させる)が可能になりました。
この治療法は一旦低下した視力の改善が期待でき、かつ視力の良いうちからでも治療が開始可能な、
画期的な治療法として、現在の主流となっています。

抗血管新生薬療法

体の中には、脈絡膜新生血管の成長を活性化させるVEGF(ブイイージーエフ)
(血管内皮増殖因子(血管内皮増殖因子))という物質があります。
抗血管新生薬療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより、
新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。

光線力学的療法(PDT)

光線力学的療法は「PDT」ともよばれる治療法で、
(1)光に反応する薬剤を腕の静脈から注射した後
(2)病変部にレーザーを照射する
という2段階で構成される治療法です。
この治療により、正常な組織に大きな障害を与えることなく、新生血管を閉じることが可能です。

※資料提供:網膜ドットコム|ノバルティスファーマ