白内障とは、目の中の水晶体(レンズ)が濁る病気です。
痛みや異物感・充血などがでることはありません。
水晶体(レンズ)が濁ることにより、
視力が低下して以下のような症状が現れます。
■かすむ
■明るいところへ出ると眩しくて見づらい
■どんなに調整しても眼鏡が合わない
■物体の輪郭がぼやけて二重・三重に見える
※にごりの程度、進行具合により、症状には個人差があります。
一度白内障が進行して水晶体(レンズ)が濁ってしまうと、薬などでは元の透明性を回復させることは困難です。
したがって、白内障が進行した場合は手術以外に視力を回復する手段はありません。
白内障の手術は、水晶体(レンズ)の濁りを取り除き、人工の水晶体(レンズ)を移植するものです。
網膜や視神経、角膜などの他の部分に問題がなければ、視力低下の回復が期待できます。
当院では、目に優しい精度の高い手術を心掛けております。
丁寧に執刀し、ほとんどの手術が4~8分で終了します。
小瞳孔などの難症例でもほとんどが10分前後で終了します。
従来の白内障手術は、超音波測定結果に応じた1~2種類の眼内レンズから選ぶ手術でしたが、
最近は研究が盛んになり、個々の症例に多種多様な眼内レンズの選択が可能になりつつあります。
患者さまにとって一度の手術ですので、生活習慣や手術前の度数を考慮して
直接ご本人と相談し、ひとりひとりに合わせたレンズ種類と度数選択をしています。
多焦点眼内レンズやモノビジョン法など、より質の高い見え方(QOV:クオリティー・オブ・ビジョン)を
大切にした白内障手術をご提供したいと思います。
また当院では、専門の検査機器を用いて、角膜のみならず眼球の屈折と光収差を計測し、
各眼内レンズ(球面・非球面・着色・多焦点レンズ)を挿入した場合の患者さまの見え方を
シミュレーションしてからレンズの選択を行います。
さらにもともと乱視が多い方や術後乱視に対しては乱視を減らす強主経線上切開法や
角膜輪部減張切開術(LRI)を追加して更なる視力向上を目指します。
超音波測定では精度が低かった眼軸長測定に際して精度の高いIOLマスター(非接触・光干渉)を導入し屈折誤差を最小限にします。
白内障手術は成功率が高い(99%程度)ですが、水晶体を支えるチン小帯という組織が
もともと弱い方などに起こるやむを得ない合併症があり、硝子体を切除して眼内レンズを縫着する場合があります。
このような場合も、当院では院長が安全に硝子体手術を行うことができますので、最後まで当院で治療が可能です。
緑内障は、眼圧が高くなることにより視神経に異常が起こり視野(見える範囲)や視力に障害を起こす病気です。
眼圧が正常でも視神経が圧力に耐えられなくなると起きます。
緑内障は、厚生労働省研究班の調査によると、我が国における失明原因の第1位を占めており、
日本の社会において大きな問題として考えられています。
しかも最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、
40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%であることが分かりました。
つまり40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の患者さんがいるということになります。
緑内障は一般的に病気がかなり進行するまで自覚症状がほとんどないため、
知らないうちに病気が進行していることが多くあります。
視神経の障害はゆっくりと進み、視野も少しずつ狭くなっていくため、目に異常を感じることはありません
緑内障の治療は、病気の進行を食い止めるため、眼圧を低くコントロールすることが最も有効とされています。
治療法としては点眼治療・レーザー治療・手術治療があります。
レーザー治療や手術を受け、眼圧が下降しても、その効果が維持されるとは限らず、
再度手術を行う場合もあります。
上記のどの治療法も、すべて眼圧を下げて視神経を保護することで、視野の進行を緩やかにしていくことが治療の基本となります。
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■閉塞隅角のタイプ
角膜内皮の保護を考慮して、YAGレーザー虹彩切開術や隅角解離術(GSL)や白内障手術の単独または併用を行います。
白内障手術は水晶体が薄い眼内レンズに置き換わることで隅角が広くなり、房水の流出がよくなります。
■開放隅角のタイプ
点眼治療では眼圧下降が不十分でこのままでは視野が減っていくことが予想されるや点眼治療が困難な場合は、手術治療を考えます。
緑内障の原因や眼圧、進行具合、年齢に応じて手術方法を決めていきます。
以前は緑内障手術は最終手段という認識でしたが、近年MIGS(ミグス)といって低侵襲緑内障手術が登場しました。
◆カフーク(眼内法による線維柱帯切除術)
従来、結膜と強膜を広く切って線維柱帯を切開していたため術後の異物感が強く、手術時間も30~40分程度かかっていましたが、カフークは白内障手術と同じ角膜の2.4mmの小さな創口から眼内に入り、線維柱帯を切除します。従来の眼外法と違い手術時間は5~10分程度と短時間で行うことが可能となりました。
術後の異物感もほとんどありませんが眼外法と同じく術後数日は出血のためぼやけます。
◆iStent(アイステント)
現在日本では白内障手術と同時に行う場合のみ認可されています。白内障手術の最後にステンレス製の1mm程度のステントを線維柱帯に差し込むことで眼圧を下げます。眼圧下降効果は前述のカフークよりも弱いですが、術後の出血がほとんどなく、視力回復が早いという利点があります。
複数の点眼は管理が大変なうえに薬剤による角膜障害のためかえって視力が悪くなるケースがよくみられます。点眼の種類を減らすためにも低侵襲緑内障手術はとても有効です。
少しでも視野を残すことができるように様々な治療を組み合わせて緑内障の方の視野を守っていきたいと思います。
以下はカフークの動画です。